2017年3月15日水曜日

偽物ツインカム!?

ロードスターのBP-ZEのシリンダーヘッドを降ろした時に燃焼室を見て違和感を感じたんです。


普段ヴィヴィオばかり弄っているので
無意識のうちにヴィヴィオと比べているわけですが。


この2枚はアングルも違いますし
ロードスターは洗浄されていないから、わりにくですね。

同じような状態で見てましょう

これがロードスターのBP-ZE

これがヴィヴィオのEN07X

同じように4バルブのペントルーフ型燃焼室です。

どこが違うと思いますか?

スキッシュエリアが違いますね。
EN07Xはスキッシュエリアがありません(;゚Д゚)!

まぁ、これも違いなのですが、
もっと本質的ことでヴィヴィオの方が燃焼室が扁平なんですね。

なんで、こうなるかというと

ヴィヴィオは”狭角ツインカム”は採用しているからなんです。


狭角ツインカムとは片方のカムシャフトだけをクランクにつなぎ
そのカムシャフトがゼロバックラッシュギアを通し
もう片方のカムシャフトを駆動するというものです。


狭角ツインカム

通常のツインカム

”狭角ツインカム”というより”ハイメカツインカム”の方が通りはいいでしょう。

また、先ほど”ゼロバックラッシュギヤ”と書きましたが”シザーズギヤ”のほうがよく耳にされると思います。


”ハイメカツインカム/シザーズギヤ”とはトヨタの商品名です。

この”ハイメカツインカム”は
一般的に”安物ツインカム”偽物ツインカム”と思われているような印象を受けます。


1986年の20系カムリ・ビスタに搭載された3S-FEで初登場したのですが
その時にトップグレードに従来の3S-GEを搭載し、その下のグレードに3SーFEを搭載しました。

スペックも”G”の呼称が付くエンジンに比べて低いものになっていました。

そのようなイメージができたのでしょう。


では、実際に”ハイメカ ツインカム”は安物の偽物なのでしょうか?

しかし、20系のカムリは、途中で”V6プロミネント”というV6エンジンを搭載した上級グレードを追加します。

このエンジン1VZ-FEは”ハイメカツインカム”を採用しています。

その後、初代セルシオに搭載された1UZ-FEも、ハイメカツインカムを採用しています。

それを見ても
”ハイメカツインカム”は”安物”というのは当てはまりません。

それに、吸気・排気のカムシャフトに、同じスプロケットを付けて駆動する通常のツインカムより、ゼロバックラッシュギヤのほうがコストが掛かっているように思えます
では、”偽物”なのでしょうか?

吸気・排気にそれぞれカムシャフトが存在する訳ですから偽物ではないでしょう。

しかし、”ハイメカツインカム”を”偽物”という人は
そんなことを言っているのではないでしょう。

多分”性能”とかいうものが従来のツインカムの及んでいないということでしょう。

それに、お答えする前にトヨタはなぜ”ハイメカツインカム”を作ったか考えてみましょう。

カタログを飾る為?

それも、あるでしょう。

でも、私はトヨタはツインカム化よりも4バルブ化したかったのだと思います。

4バルブのメリットは

①2バルブに対して、吸気・排気面積が大きくとれる。

②4バルブによって形成されるペント・ルーフ型燃焼室はS/V比が高いので冷却損失が少ない。

③スパークプラグを中心にもってこれるので火炎伝播が均等になる。

④2バルブに対して、バルブ自体が小型軽量にできるので
    慣性マスが減り高回転まで回しやすい。


①は、大出力を狙うスポーツエンジンのように空気を沢山吸い込むわけではありませんが、バルブスケジュールの設定の自由度は大きくなります。

②③は実用エンジンにも必要なことでしょう。

④は、高回転まで回さないにしても弁動系の負担が減らす効果はあるでしょう。

実用エンジンを高効率化する為の4バルブ化と思われます。

また、バルブの挟み角を小さくするこにより
燃焼室及びシリンダーヘッド自体を更にコンパクトにすることが出来ます。

デメリットとしては、バルブの挟み角を小さくするとバルブが起き上がるので、ポート形状はカーブが強くなりますし、バルブの大きさがボア径の影響を受けやすくなります。

ポート形状に関しては
スターレットに”ハイメカⅡ”の名前でインテークをストレートにしたタイプが出ました。

バルブ面積は同じボア径ならGツインカムより小さくなりますが
2バルブと比べれば面積は大きくとれます。

実用エンジンとしては優秀と言って良い思います。

つまり
ハイメカツインカムはそれまでのパワー重視の”G”と呼称されるツインカムとは違い
経済性と中低速の扱いやすさを重視しているといことです。

ですからカタログスペックが低いからといって性能が悪いというわけではありません。

カタログスペックだけ飾りたいなら、カムの作用角・リフト量・オーバラップでどうにでもなるわけです。

しかし、トヨタには”G"ツインカムと呼ばれるスポーツエンジンがあるので
また同じようなスペックのエンジンを作っても仕方ない訳です。

狙っているところが違うのです。



それでしたら、ツインカムにしなくてもホンダ等が採用していた”1カム4バルブ”でいいだろうと、おしゃる方もみえるでしょうが
自分でエンジンを組んでみるとわかりますが、ロッカーアーム式は直打式に比べて機構が複雑になります。
生産性・整備性・耐久性で不利といえるでしょう。

逆になぜこの時点で、他メーカーは生産性・整備性・耐久性で不利な1カム マルチバルブを作っていたのでしょうか?

トヨタだけがで、”4バルブ 直打式ツインカム”の量産技術を確率していたからです。

参考文献 
Tokyo Automobile Stuby Group"「トヨタ ハイメカツインカム」
http://golf4.blog65.fc2.com/blog-entry-161.html




それまでは4バルブの直打式のエンジンは日産のS20/FJ20に代表されるように非常に高コストなものでした。

職人が手でシム式のバルブクリアランスを調整するのですから
そりゃコストが掛かります。

しかし、1G-G生産の時点でトヨタは他社に先駆けて4バルブの自動組立ラインの技術を確率していた。
それを実用エンジンにも応用したのが”ハイメカツインカム”といことです。

トヨタが4バルブを量産しだしたことによって他社も4バルブのツインカムのエンジンを作り出すわけですが
この時期の他社の4バルブの直打式は、スカイラインGT-R・ヴィヴィオRX-R・アルシオーネSVX等の1部の車種を除いて
ハイドロリック・ラッシュ・アジャスター(HLA)を使っています。

つまり、トヨタのようなバルブクリアランスを計算して組み立てるラインが確率されていなっかたということです。

HLAを使うと部品自体はソリッド式のリフターより高コストになりますが、職人が手でシム調整していては量産もできませんし
組立の手間を考えると、エンジン全体のコスト面で、もっと不利だったのでしょう。

私が以前、乗っていたロードスター(NA6CE)も今のNA8CもHLAを使っています。
HLAは10万km、バルブクルリアランク調整不要を売にしていましたがNA6CEの前に乗っていたカリーナの2T-Gだって10万km位なんともなかったのに、なんで、重量・剛性の面でスポーツエンジンには不向きなHLAを使うのかと疑問に思っていたのですが、こんな理由があったのですね。

80年代後半から90年代に一世を風靡した”ハイメカツインカム”ですが
バルブトロニックの進歩とともに姿を消していきました。

しかし、今でもトヨタのエンジンの呼称には、”F”や”G"の文字が残っています。

燃費・実用性・環境負荷を重視しているエンジンが”F”

パワー志向のエンジンが”G”

となっていることからもわかるように、

”F"の呼称で呼ばれた”ハイメカツインカム”は、当時から燃費・実用性・環境負荷を重視していたということです。


以上の理由から、

私は
”ハイメカツインカム”は”安物ツインカム・偽物ツインカム”ではないですし
ましてや”低性能エンジン”ではないと考えます。

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